「薬機法管理者」という言葉から、国家資格や特別な免許が与えられるようなイメージを持つ方も多いかと思います。
しかし、薬機法管理者は国家資格ではなく民間資格です。
また、取得したことにより「医薬品が販売できるようになる」「医薬品を管理できるようになる」といったこともありません。
では、薬機法管理者を取得することにはどのようなメリットがあるのでしょうか。
この記事では、わずか5日間の学習で薬機法管理者に合格した私が、薬機法管理者の概要からよくある疑問、資格取得をお勧めする人までを解説します。
▽薬機法管理者の難易度や勉強方法については下記をご覧ください▽
薬機法管理者は国家資格ではない
まず、改めてお伝えするのは、薬機法管理者は国家資格ではないということです。
薬機法管理者は、薬事法ドットコムが運営を行い、薬事法有識者会議が認定を行う民間資格です。
薬事法ドットコムでは、そのほかに「コスメ薬機法管理者」や「機能性表示管理者」「景表法検定講座」「再生医療ビジネス認定講座」「ペットビジネスリーガル講座」といった講座の開催、資格認定を行っています。
薬機法管理者になるとできること
薬機法管理者は、薬機法に関する基本的な知識を持っている人に与えられる資格です。
薬機法では、医薬品や医療機器、化粧品や健康食品の販売や広告に関するルールが定められています。
そのため、薬機法管理者になったからといって何か特別な業務に従事する免許が与えられるというわけではありません。
しかし、薬機法は医薬品等の販売や広告を行ううえで必ず守らなければいけない法律であり、違反した場合には行政指導が行われたり、刑事罰が下されたりすることもあります。
そのため、医薬品等の販売や広告に携わる人にとっては、持っていると業務における違反リスクを低減し、業務の幅が広がる可能性をアップさせてくれる資格です。
これが、多くのライターやアフィリエイター、マーケターが薬機法管理者を取得する理由です。
取得方法
薬機法管理者は、eラーニング講座を受講し、その後修了試験、資格試験の両方に合格することで取得できます。
具体的な流れとしては以下の通りです。
- 専用ページよりアカウント作成し、受講費を支払う
- 入金が確認されたら、eラーニングでの受講開始(受講期限は入金確認日より365日)
- 修了試験の受験(受験可能回数は1回)
- 修了試験に合格したら資格試験の受験(受験可能回数は1回)
- 資格試験に合格したら認定証が発行される
試験日
決められた試験日はなく、自宅のパソコンから24時間365日受けられます。
ただし、修了試験・資格試験の採点には5営業日ほどかかるため、修了試験後は採点を待ってから資格試験を受ける必要があります。
私の場合は、午前中に修了試験を受け、当日の夜には採点結果が送られてきました!
受験費用
2024年10月時点で、受験費用は税込み89,800円です。
これには、eラーニングの受講費用と資格受験費用の両方が含まれています。
また、合格後は1年ごとに更新費用がかかります。
更新費用は、その回数や更新方法によって、1万円もしくは2万円となっています。
資格更新1回目・2回目(1年間) | 20,000円 |
資格更新3回目以降(1年間) | 10,000円 |
【自動更新】資格更新1回目 | 20,000円 |
【自動更新】資格更新2回目以降 | 10,000円 |
薬機法管理者と関連する資格
薬機法管理者には、関連する資格や混同される資格があります。
- 薬剤師
薬剤師は、薬学部過程を経て試験に合格することで得られる国家資格です。代表的な業務は医薬品の調剤や服薬指導であり、医療従事者の一員として地域の方々や患者さんの健康をサポートする役割を担っています。 - 登録販売者
登録販売者は、ドラッグストアなどで一般用医薬品の販売ができる資格です。薬剤師と異なるのは、処方箋に基づいた調剤ができないこと、第一類医薬品の販売ができないことなどです。 - YMAA
YMAAは、薬機法や医療広告ガイドラインなど、医療広告に関するルールを習得している個人や法人に与えられる認証マークです。インターネット上で好きなタイミングで受験することができます。受験料はかかりませんが、合格し認証マークを発行する際には、発行費用として税込み6,600円が必要となります。 - 薬事法管理者
薬事法管理者とは、薬機法管理者の旧表記です。2014年に薬事法から薬機法へと名称が変更されたことに伴い、資格名も変更されました。 - コスメ薬機法管理者
コスメ薬機法管理者は、薬機法管理者と同じく薬事法ドットコムが運営を行う民間資格です。化粧品に特化した講座・試験となっており、コスメライターやインフルエンサーに人気の資格となっています。
薬機法管理者に関するよくある疑問
薬機法管理者に関するブログやSNSでの書き込みをもとに、よくある疑問をまとめたので参考にしていただければと思います。
受験資格はある?
薬機法管理者に受講・受験資格はありません。
年齢や職業などに関係なく、だれでも受けることができます。
海外や外出先からの学習は可能?
パソコンやスマートフォンといったツールがあれば、海外も含めてどこからでも受講できます。
学習中の疑問点は質問できる?
学習中に出た疑問は、3回まで無料で質問することができます。
その後は質問チケットを購入する必要があります。
学習ページのQ&Aに、過去にほかの方が質問した内容が掲載されています。
それを確認することで、大方の疑問は解消できるかと思います。
試験が不合格だったらどうなる?
受講期間内であれば、追試費用を支払うことで再度試験が受けられます。
追試費用は、修了試験が税込み10,000円、資格試験が税込み20,000円です。
支払方法にはどんな種類がある?
クレジットカード払い、銀行振り込み、コンビニ決済が利用できます。
経費として計上できる?
業務上必要となる場合は、「研修費」として経費に計上できます。
取得前後で年収に変化はある?
薬機法管理者が直接的に年収に影響することはあまりありません。
しかし、薬機法管理者を取得していることで社内での業務の幅が広がったり、フリーランスとして請け負う仕事が増えたりといったメリットはあります。
そのため、結果的に年収アップにつながる場合があります。
薬機法管理者が生かせる職業
特にライターやアフィリエイターなどは、薬機法管理者で得た資格を生かすことができます。
ライター
薬機法管理者の資格を一番生かせると思われるのが、ライターです。
特にフリーランスで活躍しているWEBライターは、薬機法に関する知識を持っているとアピールできることで、請け負える仕事の幅が広がります。
医療系は、一般的なWEBライティングに比べて単価が高いため、収入のアップも目指せます。
私の場合は、取得後2カ月でお取引先が1社増えました。契約には至っていないものの、クラウドワークス経由でのスカウト問い合わせも1件ありました。
WEBデザイナー
サイトやLP、バナーを制作する際にも薬機法の知識は欠かせません。
訴求力だけを意識してキャッチコピーを作ったり、文字を大きく強調したりすると、薬機法違反になる可能性があるためです。
健康食品や化粧品のWEBデザインを行う人であれば、薬機法の知識は習得しておきましょう。
マーケター
薬機法に違反する表現を使用してしまえば、自分自身だけでなく、取引先の企業にも大きな損害が出る可能性があります。
そのため、経営戦略を練り、セールスプロモーションを行うマーケターにとっても、薬機法の知識は必要不可欠です。
アフィリエイター
薬機法の規制対象には、個人で運営しているブログやSNSも含まれます。
アフィリエイト収入を増やそうとちょっと誇張した文章が、違反表現としてみなされ行政指導を受けるという可能性も大いにあります。
「個人の感想として紹介しているだけだし」などと考えずに、薬機法に遵守したコンテンツを制作するようにしましょう。
まとめ
薬機法管理者は、国家資格でも特別な免許が与えられる資格でもありません。
しかし、ライターやデザイナー、アフィリエイターなどは、取得することで業務の幅が広がったり、年収がアップしたりする可能性があります。
そのため、特にフリーランスの方にお勧めの資格です。